SHIROのIchigoJam日記

マイコン「IchigoJam」(イチゴジャム)の電子工作とプログラミングをメインに

SanadaJam-RL


IchigoJam Rの互換機です。
RのRISC-VのIC「GD32VF103CBT6」は、IC単体ではほとんど入手不可能です。
が、このICを組み込んだ開発ボード「Longan Nano」
akizukidenshi.com
はそれなりに手に入るので、これを搭載したR互換機を作ってみました。

Longan Nanoが長いので、基板も縦に長くなっています。IchigoJam用のケースには入らないのでご注意ください。


Longan Nanoは液晶ユニットは外して、付属のピンヘッダをはんだ付けします。


Longan Nanoから横に突き出したピンヘッダに、2列のL型ピンソケット(8P)を差して、基板に載せてはんだ付けします。
子ども向け工作教室では、この形のハーフキットにして配布するといいと思います。


モニタとキーボードをつなげば、普通にIchigoJam Rとして使えます。

回路図


8MHzクリスタルや3.3VレギュレータはLongan Nanoに搭載されているので、SanadaJam側では省略しています。
Longan Nanoは800円くらいするのですが、それらのパーツが載っていることを考えると、全体のコストは本家IchigoJam Rとそこまで大きな差はありません。
Longan Nanoが載ったハーフキットにして工作教室で配布すれば、その後にはんだ付けするパーツ数は本家より少なくなります。

基板データ

*この基板データは、CC BYライセンスとします。どうぞご利用ください。

(C) 2022 Shiro Saito (https://www.ichigoaman.jp)

材料

だいたい以下の順番ではんだ付けすると作りやすいです。

↑ハーフキットにするにはここまではんだ付け↑

ファームウェアの書き込み:(Case1)Longan Nano搭載のUSB3端子を使う場合

IchigoJam Rとして動かすには、Longan Nanoへファームウェアを書き込む必要があります。
Longan NanoのUSB3端子を使うと、USBシリアルモジュールを持っていなくても書き込みできます。ファームウェア書き込み初心者向けです。

1.ファームウェアファイルをダウンロード

IchigoJam公式サイトのダウンロードページから、ver 1.5.0のファームウェアファイルをダウンロードします。
展開したファイル内の「ichigojam-r.bin」がファームウェアファイルです。

2.Longan Nanoのツールをダウンロード

SipeedのLongan Nanoツールのダウンロードページ
https://dl.sipeed.com/LONGAN/Nano/Tools/

から、「GD32_MCU_Dfu_Tool_V3.8.1.5784_1.rar」をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを展開しますが、RAR書庫ファイルなのでWindows標準機能では展開できません。
7-zipなどのアーカイバツールを使って展開してください。

書庫を展開すると、フォルダが2個できます。
「GD32 MCU Dfu Drivers」:ドライバ
「GD32 MCU Dfu Tool」:書き込み・読み出しツール

3.ドライバをインストール

「GD32 MCU Dfu Drivers」フォルダ→「x64」フォルダ→「GD32 MCU Dfu Drivers.exe」を実行して、ドライバをインストールします。

4.PCとLongan NanoをUSB3ケーブルで接続

5.Longan NanoをISPモードにする

Longan Nanoにある2個のボタンを使います。

  • (1)BOOT0ボタンを押しっぱなしにする
  • (2)RESETボタンを押して離す
  • (3)BOOT0ボタンを離す

これでISPモードになります。

6.ツールを起動して書き込み

「GD32 MCU Dfu Tool」フォルダ→「GD32 MCU Dfu Tool.exe」を起動します。

起動時に更新確認の画面が出ますが「いいえ」を押してキャンセルしてください。
※「はい」を押してもリンク切れで更新できません。

ツールのウインドウが表示されます。
Longan NanoがISPモードになっていれば、デバイス名が表示されます。

  • (1)「Download to Device」をクリックして選択
  • (2)「open」ボタンをクリックして、ファイルダイアログからファームウェアファイル「ichigojam-r.bin」を選択。標準だと「~.hex」ファイルしか選べないので、ファイルの種類フィルタを「~.bin」に変えてください。
  • (3)「OK」ボタンをクリックして、ファームウェアを書き込み

書き込みが終わったらツールを終了します。

7.Longan Nanoをリセット

Longan NanoのRESETボタンを押すと、リセットがかかります。
このままでもUSB3ケーブルからの給電でIchigoJam Rとして起動して、モニタ画面は映りますが、キーボードが使えません。
(Longan Nanoのキーボードインターフェースとバッティングするため)

8.周辺機器を配線、動作確認

Longan NanoからUSB3ケーブルを外します。
ビデオ端子に液晶モニタ、USB A端子にUSBキーボード、micro USB端子にUSB電源をつなぎます。
電源スイッチをONにして、モニタ画面の表示や、キーボードから文字が入力できることなどを確認します。

ファームウェアの書き込み:(Case2)USBシリアルモジュールを使う場合

既にIchigoJamファームウェア書き換えの経験があって、USBシリアルモジュールを持っている場合は、それを使って書き込みできます。

1.USBシリアルモジュールを、ピンソケットに接続

SanadaJam-RLのピンソケットCN3を使って、TX、RX、VCC、GNDを接続します。
ISP端子はつながっていないので使えません(Longan Nanoの端子にISPが出ていません)。

2.Longan NanoをISPモードにする

上のCase1-5.と同様に、Longan Nanoの2個のボタンを使ってISPモードにします。

3.ファームウェアを書き込む


IJUtilitiesFirmware Writerなどを使って、ファームウェアを書き込みます。

4.Longan Nanoをリセット

Longan NanoのRESETボタンを押すと、リセットがかかって通常モードになり、IchigoJam Rとして起動します。
IJUtilitiesなどを使ってシリアル通信ができます。

デザインフェスタvol.55(5/21-22)出展情報

来たる5/21(土)~22(日)に東京ビッグサイトで開催される「デザインフェスタvol.55」に出展します!
東京近郊の皆さん、ぜひ遊びに来てください。
フリーペーパーなども作るので、冷やかしだけでも歓迎します。
designfesta.com

日時・会場など

  • 日時:5/21(土)・22(日)11:00~19:00
  • 会場:東京ビッグサイト
  • スペースNo.:西展示棟4F(暗いブース) I-67
  • サークル名:IchigoJaMan

なお、来場者はチケットが必要です。前売り・1日券で800円。当日は1,000円。コロナ対策で、事前に連絡先を登録する必要があります。
アート系のイベントなので、アクセサリやインテリアなど面白い物がたくさん出ています。
https://designfesta.com/about-ticket/

販売品

SanadaJam-RL 2,500円


IchigoJam Rの互換機。基板が本家より縦に長いですが、普通にIchigoJam Rとして使えます。

SanadaJam-S 2,500円


IchigoJam Sの互換機。EEPROM搭載で、標準の4ファイル+拡張で128個のファイルをSAVE可能。

StickJam 2,500円


バーサライタ専用IchigoJam。横に振ると文字が見えます。キーボードをつなぐと表示する文字や色を変更できます。

ビンゴマシン 3,000円


ボタンを押すと1~75の数字をシュートします。一度出た数字はもう出ません。
ボタンを1秒間長押しするとレビューモードになり、これまで出た数字を確認できます。

LEDマトリックスペンダント 3,000円


LEDマトリックスに文字列を表示するペンダント。キーボードをつなぐと文字列を変更できます。

電子さいころ 1,200円


ボタンを押すとさいころが回って、1~6の目をランダムに表示します。
複数を横連結して同時に振ることも可能です。

電子さいころCube 1,000円


立方体の電子さいころ。左右に振ると目が変わります。かわいいオブジェにいかがでしょうか。LEDは赤と黄色があります。

電子さいころmini 800円


電子さいころのミニ版。キーホルダーやペンダントにどうぞ。LEDが赤と黄色の2種類あります。

電子ルーレット 800円


ボタンを押すとルーレットが回ります。占いにも使えます。白基板+赤LED、赤基板+黄LEDの2種類あります。

LEDハートペンダント 700円


LEDがランダムに光るハート形ペンダント。白基板+赤LED、赤基板+黄LEDの2種類あります。

LEDネコ基板 500円


両目のLEDが交互に光ります。基板は黒猫と白猫の2種類、目の色はいろいろあります。

その他展示品

IchigoJam信号機、LEDサイネージなどを展示する予定です。

(5/29追記)デザインフェスタ当日の様子をchitoseArkさんに紹介していただきました。

note.com

LPC1114はんだ付け動画

LPC1114(TSSOP版、0.65mmピッチ)のはんだ付け方法を説明する動画です。IchigoJam S互換機を作りたい人の参考として作りました。
ネット上には、こて先ではんだを融かしながら横へ動かす「引きはんだ」を説明する動画が多いのですが、私はそれだと隣り同士のピンがくっついてしまってうまくできません(^_^;)
動画はこちら。

www.youtube.com


基板とICを用意します。


ICを固定するために透明ビニールテープを用意します。


ビニールテープで、ICの片側半分を貼るようにして固定します。
この位置合わせではんだ付けの成功/失敗が80%は決まるので、きっちり位置合わせします。
セロテープだと粘着力が強すぎて、ICの微妙な位置調整ができません。ビニールテープをお勧めします。

はんだごてはFX600(白光)を愛用しています。
ICのはんだづけの時は320~370度の高めに温度調節すると良いです。

FX600用こて先:マイナスドライバ形(D型)


糸はんだは0.6mmの細い物を使います。


フラックスはペンタイプが使いやすいです。
フラックス ペンタイプ FS211-81


ICの片側の足とパッドにフラックスを塗ります。


こて先に少量のはんだを付けます。


端の1~2ピンをはんだ付けして仮留めします。


ICを指で押さえつつ、テープをはがします。
この時点では仮留めなので、微妙な位置調整ができます。ICの足をパッドにしっかり合わせてください。


反対側の足とパッドにフラックスを塗ります。


反対側の足をはんだ付けします。


元側の残りの足をはんだ付けします。


もし隣り同士のピンがくっついてしまったら、吸い取り線ではんだを吸い取って、フラックスを塗る所からやり直します。


エタノールと綿棒を用意します。ドラッグストアなどで買えます。


エタノールを付けた綿棒でこすって、フラックスを除去します。


これで完成です。