SHIROのIchigoJam日記

マイコン「IchigoJam」(イチゴジャム)の電子工作とプログラミングをメインに

TVモニタ一体型Ichigojam「IchigoTV」

4.3インチ車載モニタに、Ichigojam基板・USBシリアルモジュール・電源基板などを内蔵させてみました。TVモニタ一体型Ichigojam、略して「IchigoTV」です。
一見ただの液晶TVモニタですが、PS/2キーボードと電源&通信用USBケーブルの2本をつなげばIchigojamが使えます。なかなか便利です。

ケース内部の様子です。中央にもともとあった液晶モニタの基板、右側にIchigojam基板+拡張EEPROM基板、上側に秋月電子で購入した5V→12Vの昇圧基板、左側にUSB−シリアルモジュールを入れています。

工作の手順

以下、工作の手順を参考情報としてレポートします。
ただし、基板をカッターで切断したり、モニタのケースに穴を開けたりする荒技が必要です。
こうした改造をすれば、メーカーの保証は当然受けられなくなります。
もしやりたい場合は、「Ichigojamやモニタの予備を持っていて、もし壊れて使えなくなっても構わない」という人だけ、自己責任で挑戦してください。


モニタの裏側、四隅のネジを外してふたを開けると、このようになっています。
中身は液晶パネル・小さなメイン基板・ボタンスイッチのみでスカスカです。この空いているスペースに、Ichigojam基板などを押し込めます。

Ichigojam基板


Ichigojam基板を加工します。
そのままのサイズだとモニタケースに入らないので、上辺を3mmほどカッターで切り落とします。
左上のR1の部分が、モニタの取り付けネジと干渉するので、その部分も切り落とします。
また、基板を内蔵してしまうので、ボタン・LED周りは不要です。代わりにEEPROMの基板を入れたいので、その部分もカットします。

Ichigojam基板をはんだ付けします。
内蔵するには厚みもギリギリなので、メインICはソケットを使わずに直づけです。基板裏面のはんだ付け部分も、極力飛び出さないようにカットします。
他の部品も、背が高くならないようになるべく寝かせます。

基板を内蔵してしまうので、接続ソケットは一部を除いて付けません。
電源周りはUSBシリアルモジュールから5Vと3.3Vを供給するので、USB端子・電源SW・レギュレータは付けません。代わりにUSBのGND端子・電源SW・シリアル通信のTX・RXの穴にピンを付けます。
Ichigojam基板のICは3.3Vで動かせますが、PS/2キーボード端子へ5Vを給電する必要があります)
ビデオ端子は、液晶基板へリード線をつなげるので、ピンを付けます。GND端子には昇圧ユニットへ回すGND線を付けるので、そちらもピンを付けます。

ソケットの端子穴に外部クリスタルをはんだ付けします。
また、圧電サウンダーを付けるためと、ファームウェア書きかえ時にジャンパー線を接続するために、IC右側のSOUND端子〜GND端子の5本分だけソケットを付けます。立てて付けるとモニタケースに干渉するので、斜めに寝かせます。
圧電サウンダーは厚みがあってそのままではケースに入らないので、基板を半円形にヤスリで削って収めました。

拡張EEPROM基板

ユニバーサル基板を8×5穴にカットして作りました。配線図は以下のとおりです。

上の写真にあるように、Ichigojam基板の左脇に配線してくっつけます。
(※追記)
このままIchigojam基板に付けるとIN3ポートがEEPROMで占有されてしまうので、これから作る人は、基板を伸ばしてON/OFFスイッチを付ける方がいいと思います。
また、上記のIchigojam基板とこのEEPROMを含めて、プリント基板を使わずに、ユニバーサル基板で自分でデザインした方が作りやすいかもしれません。

昇圧基板


次に5V→12Vの昇圧基板です。秋月電子で購入。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-08406/
昇圧基板もモニタケースにギリギリ入らないので、2mmほど切り落としました。

この基板はVRや端子台が付いたフルセット版もあるのですが、今回は基板のみの物を購入して、両端の電解コンデンサ(47μF)と出力電圧を決める固定抵抗(18KΩ:12V出力)だけ付けました。
厚みを出さないように、コンデンサは寝かせて基板の外に付けました。
(今回は手持ちのコンデンサを使いましたが、調べてみると小型で背が低い47μFも売っているようなので、それを使えば普通に立ててはんだ付けできるでしょう)
電源はピンをはんだ付けして、後でコネクタでつなげます。

USBシリアルモジュール

USBシリアルモジュールは、スイッチサイエンスの5V・3.3Vをジャンパーで選択できる製品を使いました。
https://www.switch-science.com/catalog/1032/ ※現在は在庫無し
(当初は秋月電子の超小型のモジュールを試した所、Ichigojam本体だけなら動かせるのですが、昇圧基板・モニタ基板を付けると供給電力が足りずに落ちてしまいました。5Vと3.3Vの両方を出力できるモジュールなら他の製品でもいいでしょう)
ジャンパー部分は基板裏側ではんだ付けして、3.3Vモードで固定します。
VCC・5Vはピンから取ってIchigojam基板・昇圧基板の両方へ、ピンソケットのVCC・3.3VはIchigojam基板のみへ配線します。
またシリアル通信のRX・TXは、Ichigojam基板の各端子へ配線します。

液晶モニタ基板

液晶モニタ基板からは、ビデオ入力1・ビデオ入力2・VCC・GNDの4本の線が出ています。
(黄・白・赤・黒で色分けされているのですぐわかります。基板にも書いてあります)
最初に付いている線は外して、ビデオ入力1をIchigojam基板へ、電源の2本は昇圧基板へ配線します。

全体組み立て

液晶ユニットの裏側は金属板そのままなのでまず絶縁テープを貼り、その上に両面テープで各基板を貼り付けて配置します。
液晶ユニットを押さえる板が四隅にあるのですが、Ichigojam基板側の2個は邪魔になるので外します。またモニタ裏面の調整ボタンはUSBシリアルモジュールに干渉するのと、調整しなくても画は映るので外してしまいました。

ケース加工

Ichigojam基板のPS/2端子と、USBシリアルモジュールのmicro-USB端子は外へ出さないといけないので、モニタの裏ぶたをヤスリで削って穴を開けます。

micro-USBコネクタが下向きに出るので、普通のコネクタを差すと床と干渉してしまいます。L型のコネクタを購入予定です。

これで完成です。
なかなかしんどい工作ですが、完成するとモニタ一体型となって、とても扱いやすいです。
外部の入出力機器をIchigojamへ接続しづらいのが難点ですが、どうしてもやりたければ外へリード線を引き出すしかないでしょう。