先の記事で、掲示板で人を傷つける書き込みをする例を挙げましたが、携帯メールもいじめの新たなツールになっています。
東京都児童相談センターの山脇由貴子さんが書かれた「教室の悪魔〜見えない「いじめ」を解決するために〜」という本があります。
現代の学校でのいじめの実態やその対策について、臨床現場の視点から書かれた名著ですが、その中で携帯メールを使ったいじめの事例が出ています。
教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために 山脇 由貴子 ポプラ社 2006-12-21 by G-Tools |
携帯メールがいけないのは、バケツリレー式に次々と転送されてしまうので、ターゲットの本人が知った時にはもう発信元が誰だか突き止めようがないのです。また、学校中で「あの子はそういう子だ」というイメージがついてしまうので、次の新たないじめの原因になったりします。
こうした事件があると、すぐに「携帯なんてダメだ。禁止」という話になってしまうのですが、そうではないと私は思います。
まず、携帯はあくまでいじめのツールに過ぎません。現実世界のいじめの延長がネットいじめになるのであって、携帯が原因でいじめが起きる訳ではないのです。
そして、携帯の問題に限らないのですが、「子どもの世界の問題は、大人の世界の反映」だと私は思っています。
大人が「普通〜」「みんな〜」と無責任に言っていれば、子どもも「みんなと違うヤツはおかしい」と考えますし、大人が「あの人ヘン」「おかしい」と言っていれば、子どもも「変なヤツは死ね」といじめに走ります。
「みんなと一緒」=「正しい」ではありません。自分がみんなと一緒だからと言って、みんなと違う人を攻撃する権利がある訳でもありません。
まずは我々大人が自分達の言動を見直し、「普通〜」「みんな〜」ではなく、「〜だと私は思う」と自分の責任で物を言うこと、そして子ども達を大切にする「居場所」やいいコミュニケーション関係を作ることが大切なのだと思います。
なお、上記の本「教室の悪魔」では、いじめの対策として「犯人捜しをして謝らせるのではなく、学校全体・地域全体の問題として取り組む」ことが説明されています。非常に参考になりますので、読んでみてください。