SHIROのIchigoJam日記

マイコン「IchigoJam」(イチゴジャム)の電子工作とプログラミングをメインに

「携帯禁止」に物申す:(8)「禁止」と言われた子どもの気持ちは…

 子ども達に「携帯禁止」と言うのは簡単です。
 でも、大人がちゃんと子どもの心に向かい合わずに、頭ごなしに「禁止」と言ってしまうと、子ども達はきっとこう思います。

「私がどんな気持ちで携帯を使っているのか、誰もわかってくれない」
「ならいいや。私も周りの人のことなんか考えない。自分さえ良ければいいや」

 そんな子ども達は、10〜20年後には大人になり、親になります。
 未来の大人は、きっとこう思います。

 「どうせ社会は自分のことなんて考えてくれない」
 「だったらいい。私も社会の事なんて考えない。自分さえ良ければいい。自分の家さえ良ければいい」

 こうして地域社会は荒廃し、今よりもっと大変な事になるでしょう。
 逆に言えば、最近「モンスターペアレント」などの親の問題がクローズアップされていますが、それは今の親達が子どもだった時代に、我々の社会がちゃんと子どもの気持ちに向き合ってこなかった、そのツケが来ているのではないか、と私は思っています。
 また、「子どもと携帯電話」の出前講座をしていて、「携帯のことは難しくてよくわからないから、行政が制限してくれ」「学校で指導してくれ」といった意見をよく聞きます。
 しかし、一番恐いのは、「携帯禁止」と言ったり、「学校で/情報センターで子どもに話してもらえば」「行政で制限してもらえば問題は解決」などと考えて、保護者や地域の大人が、携帯を使う子ども達の気持ちにちゃんと向かい合わなくなることです。
 例えば、2008年6月に秋葉原で無差別殺傷事件が起きました。加藤容疑者が事件前にネットの掲示板に書き込んだメッセージを読むと、彼がいかに親や周囲に傷つけられ、自己評価が低く、周囲の人たちや社会を恨んでいたかがよくわかります。それらの気持ちが爆発してあの悲惨な事件になったのであって、ダガーナイフが事件の原因だった訳ではありません。慌ててダガーナイフの販売を禁止する大人を見て、多くの子ども達は「大人はちっともわかってないな」と思った事でしょう。
 携帯を禁止して、否定しても、子ども達の気持ちは無くなりません。ちゃんと理解しようとせずに押さえつけてしまえば、別な形で爆発してしまう恐れがあります。
 そして、「携帯のことは難しくてよくわからない」という大人の方は、まずは自分でやってみましょう。家族や友達などと携帯メールをやり取りしたり、携帯でネットをあれこれ見てみましょう。
 頭で理解することと、実際に体験して実感することは全然違います。携帯メールを誰かとやり取りしてどんな気持ちになるのか、自分で体験してみないといいも悪いもわからないし、子どもに対して何も言えないでしょう。
 今は生涯学習の時代ですから、子どもに「勉強しろ」と言うだけではなくて、大人の方も勉強しないといけませんよ。
 先の記事でも取り上げた吉田賢治郎さんのブログ「けんじろうとコラボろう!」には、家族間でネットを使ったコミュニケーションをする例がいろいろ載っていて、参考になります。ぜひ見てみてください。
http://blogs.itmedia.co.jp/kenjiro/cat3829472/