SHIROのIchigoJam日記

マイコン「IchigoJam」(イチゴジャム)の電子工作とプログラミングをメインに

大人の皆さんへ:(7)子どもの心に向き合う

 家庭や地域社会での具体的な対策についていくつか書いてきましたが、ここでベースとなる心の問題に戻って少し書いてみたいと思います。
 私は趣味で心理学やカウンセリングの勉強をしているのですが、カウンセリングの理論の中で、「純粋性」「共感」「受容(無条件の肯定)」という言葉があります。(クライエント中心療法でのカウンセラーの態度3条件) これを大人が子どもに向かう時の態度に置き換えて考えてみます。

(1)純粋性

 子どもに対する時に、自分の中で嘘をつかないことです。 例えば、大人の都合で言っているのに「あなたのためよ」とすりかえてしまわないことが大事です。
 「勉強しろ」と子どもに言う親は多いですが、それは何のためでしょうか。「あなたの将来のため」と言いつつ、自分が老後に支えてもらうためだったりしませんか?
 大人の中のこうしたすりかえは、子どもは敏感に察します。

(2)共感

 子どもが感じている感情や、今の心のありようを、大人も一緒に感じていくことです。例えば子どもが「つらい」「大変だ」と言えば、まずは同じようにその気持ちを感じてみましょう。
 大人から見たら「何だ、そんなこと」と思うようなことでも、子どもにとってはとても辛く、大変なことがあります。本人が感じていることが、その本人にとっては真実なのです。(「心的現実」と言います)
 完全に子どもと気持ちがイコールである必要はありません。「共感してくれている」「一緒にいてくれる」大人の姿勢が子どもに伝わるだけでも、信頼関係を作る大きな意味があります。

(3)受容(無条件の肯定)

 子どもの話の内容、感じていることなどを、無条件に尊重して受け入れていく、という態度です。「そんなのおかしい」「普通は〜」などと否定せずに、まずは子どもの話を聴いて受け止めましょう。
 例えば、携帯メールをしょっちゅうやり取りしている子どもは、大人の目からは「おかしい」「変だ」と見えるかもしれませんが、子ども達にとっては「やりたい」「必要だ」と思う気持ちがあるのです。大人の価値観で否定した所で、その気持ちが無くなる訳ではありません。
 「メールなんてしてるあなたはダメだけど、やめたらOk」「テストで○点取ったら○○を買ってあげる」などは「条件付き肯定」で、子どもは「本当の自分をわかってもらえない」「受け止めてもらえない」と感じてしまいます。
 あなたは自分の子どもを愛していますよね? それは「顔が可愛いから」「成績がいいから」「自分の言うことを聞いてくれるから」といった「条件付き」ではないはずです。自分の子どもだからこそ、無条件で愛しいものでしょう。
 現実社会に出れば「働きが悪かったらクビ」といった「条件付き肯定」ばかりです。せめて自分の子どもには、無条件に受け入れてもらえる幸福を、子ども時代に十分味合わせてあげましょう。心の拠り所になる幸せな子ども時代があってこそ、厳しい現実社会に耐えられる大人になれます。

まとめ

 もちろん、上の3つは理想であって、実際に子どもの前でその態度で居続けるのはなかなか難しいことです。
 しかし、「できない」と開き直ってあきらめるのではなくて、やはりその理想を意識して、それに向かって努力しないといけません。子育てに迷った際に、向かうべき方向を示すコンパスになるのではないでしょうか。