既にニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、石川県議会で「いしかわ子ども総合条例」の修正案「『子どもに携帯を持たせない』親の努力義務」が、賛成多数で可決されました。
(ケータイWatch)
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20090629_298401.html
県議会の「最新情報」ページに、修正案の詳細が出ています。
http://www.pref.ishikawa.jp/gikai/index22.html
※「第3回(6月)定例会で可決された議会議案(PDF)」の1ページ目です。
個人的には「ついにやってしまったか」という感じです。
これまでの記事でも書きましたが、私は行政が一律に「子どもの携帯を禁止」するのは反対です。
いくつかの理由がありますが、一番は親子のコミュニケーションを阻害する悪影響の方が大きいのではないかと思っています。
こうした行政のルールがなければ、子どもから「携帯が欲しい」と言われた時、親はいろいろ考えるでしょう。そして「なぜ欲しいのか」「何に使うのか」親子でいろいろ議論して、「携帯の家庭内ルール」を決めていくことになるでしょう。
しかし、行政が「子どもは携帯禁止」と言ってしまうと、親は「行政が言っているんだから、うちでも携帯は禁止」と子どもに言うだけで終わってしまいます。なぜ携帯を使いたいのか?といった子どもの気持ちに向き合わず、話し合いもせず、それだけで終わってしまう可能性が高いです。
そして、自分の気持ちを受け止めてもらえなかった子どもはこう思います。
「こんな親に何を言ったって無駄だ。どうせ僕の気持ちなんてわかってくれない」
こうして、親子のコミュニケーションはどんどん無くなっていってしまいます。
こうした制限の根拠として、市民へのアンケートで「子どもの携帯について行政が何らかの制限をすることに賛成」の意見が多い、といった調査結果がよく使われます。
しかしこの賛成は、上に書いたような「行政が制限してくれれば自分が楽」といった、大人側の”手抜き”の賛成が多いのではないか、と私は思っています。「行政が言っているから」と言えば、自分で責任を取らず、何も考えずに、子どもを説得できるからです。
その場はそれで押さえつければ済むかもしれませんが、子ども達の押さえつけられた不満は5年後、10年後に爆発して、もっと大きな事件になってしまうかもしれません。それでいいのでしょうか。
今回の条例可決は、全国の都道府県・市町村の施策に確実に影響するでしょう。魔女狩り裁判のような「携帯禁止」の渦が巻き起こらないように、今後注意して見守らなければいけないと思います。