ロジックICを1個使って、LEDで1~6の目を表示する電子さいころです。
紹介動画はこちら。
www.youtube.com
※4/28:高輝度LEDに変更
電子さいころは電子工作の定番で、ネット上にも多数の作例が出ていますし、キットも多数販売されていますが、ロジックICを2~3個使った物が多いです。
(あるいはPICやArduinoなどのマイコンを使って、プログラムでLEDを光らせる作例)
この電子さいころは、40年前の電子工作雑誌に出ていた回路(詳細は後述)を参照して、4bitデュアルシフトレジスタ(4015)のIC×1個だけで、1~6の目式さいころを実現しています。
※4/28:高輝度LEDに変更
このさいころの特長として、基板の側面にピンヘッダ/L型ピンソケットが付いていて、横方向に基板を連結して複数のさいころを同時に振ることができます。
ボードゲームやTRPGをプレイする時にも使えます(^_^)
発振回路のコンデンサの容量にバラツキがあるので、それぞれのさいころで違う目が出ます。
なお複数のさいころを連結する時は、ボタン操作をする親機だけ電源スイッチをON、その他の子機は電源スイッチをOFFにしてください。
(子機の電源をONしたままだと、電池に負荷がかかります)
※4/28:高輝度LEDに変更
いわゆる「C基板」のサイズで設計しているので、C基板用のケースやパネルが使えます。
スモークのアクリル板を付けると、かなりカッコよく&見やすくなります(^_^)
回路図
シフトレジスタで1~6の目を表示する仕組み
シフトレジスタIC・4015は、4ビット出力のシフトレジスタがA・Bの2個入っています。発振回路からCLKA・CLKBに入力されるクロック信号に従って、シリアル入力DA・DBの値(電圧HかL)が1ビットずつシフトして出力されます。この回路ではDAはVCCにつながっているので常にH、DBはQ3Aにつながっています。
最初はQ0A~Q1Bの全てがL電圧なので、VCCからつながったbのLED2個が点灯して「2」の目が表示されます。
その後、Q0A→Q1A→Q2A→Q3A→Q0Bと順にH電圧が出力されて、「4」「6」「5」「3」「1」の順で目を表示します。
(Q3AにHが出力されると、それがDBにつながっているので、次のクロックでレジスタBのQ0BにHが出力されます)
その次のクロックでQ1BにHが出力された瞬間に、つながったRESA・RESB端子にHが入力されるので、シフトレジスタA・Bがリセットされて最初に戻ります。
回路の出典
シフトレジスタ1個だけで1~6の目を点灯させる今回の回路は、40年前の電子工作雑誌「初歩のラジオ別冊 松本悟のデジタル・ゲーム製作集」(誠文堂新光社、1981年)に掲載されていた記事を参照しました。
- 国会図書館の書誌情報 国会図書館ではスキャン画像が閲覧できます。
記事の初出は、雑誌「初歩のラジオ」1980年10月号のようです。
- 国会図書館の書誌情報 国会図書館ではスキャン画像が閲覧できます。
なお松本氏の回路ではシフトレジスタにMC14015Bを使っていますが、現在は入手困難なので、互換品のTC4015BPに換えています。発振回路のトランジスタも、現在の定番・2SA1015と2SC1815のペアに換えました。
また、サウンドを鳴らすブザーや、複数連結用のピンヘッダ/ピンソケットを追加するなど、回路を若干変更しています。
基板データ
- Fusion PCB用ガーバーデータ(ZIP)(76×51mm)
*いわゆる「C基板」のサイズで設計しています。C基板用のケースやパネルがそのまま使えます。
*この基板データは、CC BYライセンスとします。どうぞご利用ください。
(C) 2022 Shiro Saito (https://www.ichigoaman.jp)
材料
ICのみ共立エレショップ、その他のパーツは秋月電子です。
以下の順番ではんだ付けすると作りやすいです。
- L型ピンソケット 1×6(6P) ※3Pにカット
- ピンヘッダ (オスL型) 1×40 (40P) ※3Pにカット
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W470Ω (100本入) R1~R4
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W1kΩ (100本入) R5~R6
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W20kΩ (100本入) R7
- デュアル4bitシフトレジスタ TC4015BP(AliExpressの検索)
- メジャーなオンラインショップでは在庫がありません。
- 互換品のCD4015BEは入手しやすいのですが、CD4015BEを使うと「3」の目が出ないようです(「3」が出るべき所が「1」になってしまう)。恐らく出力電流/電圧の微妙な特性差なのだと思います。TC4015BPを使ってください。
- スライドスイッチ 1回路2接点 基板用 横向き
- タクトスイッチ(黒色)
- スイッチの色はお好みで。「白の方が子どもにわかりやすい」という意見をいただきました。
- 積層セラミックコンデンサー 1μF50V Y5V 2.54mm (10個入) C2
- トランジスタ 2SA1015L-GR-T92-K 50V150mA (20個入) TR1
- トランジスタ 2SC1815L-GR-T92-K 60V150mA (20個入) TR2
- 電解コンデンサー 100μF16V105℃ ルビコンMH7 C1
- 電子ブザー 12mm UDB-05LFPN
- 5mm黄色LED 590nm OS5YEA51A5A (5個入) ×7本
- ※5/31:以下の高輝度・広角のLEDもお勧めします。かなり明るくて(まぶしいくらい)見やすく、値段も安いです。
- 5mm黄色LED 590nm 60度 OSY5EA5B61A-QR (10個入)
- LEDはお好みで違う色に換えても構いませんが、順方向電圧(Vf)が2.1Vの物にしてください(赤・黄など)。緑や青などのVfが高いLEDを付けると、さいころが光りません。
- 電池ボックス 単4×4本 リード線
- 電池ボックスをはんだ付けして、さいころの動作が確認できたら、電池ボックスを基板の裏に両面テープで貼り付けると全体がコンパクトになります。
以上で完成です。
以下はオプションです。アクリル板を付けるとかなりカッコよくなって、さいころ表示も見やすくなります(^_^)