SHIROのIchigoJam日記

マイコン「IchigoJam」(イチゴジャム)の電子工作とプログラミングをメインに

大人の皆さんへ:(5)子どもの社会参加

 家庭の次は地域社会での対策です。
 子ども達のために、地域社会でも子どもの「居場所」「つながり」を作りましょう。
 具体的には、伝統行事、子ども会・育成会、クラブ活動など、子どもが地域社会に参加する場をたくさん作ってください。
 現実社会で様々な人間関係や活躍場所ができれば、ネットにむやみに「居場所」 「つながり」を求めなくても、子ども達は落ち着いていられるようになるでしょう。
 私がいる情報センターでは「デジタルアーカイブ事業」を行っていて、長野県に関する古いニュース映画や記録映画などをデジタル化して保存しています。
 そのライブラリの中に「子供の四季」という記録映画があります(1958年 岩波映画製作所)。南佐久地方の農村を舞台に、子ども達が地域の伝統行事の主役となって活躍している姿が描かれていて、とても興味深いです。
 昔は地域の強い共同体関係があり、その中で子ども達が社会参加する機会がたくさんありました。農業にしろ普請などにしろ、大人も子どももみんなで助け合わないと生きていけなかったからです。
 しかし今は個々の核家族だけでも十分生きていけるようになり、地域の横の繋がりが少なくなってしまいました。その結果、子どもの世界も「学校と家だけ」になってしまっています。
 だからといって、「昔は良かった」と懐古するだけでは仕方ないですし、今さら時計の針を元に戻す訳にはいきません。今の時代に合った新しい形の「子どもの居場所」「社会参加」を、地域の大人が意識して作っていく必要があります。
 私は地元で地域づくり活動をしているので、その関係から最近の事例を紹介します。

◇ゆう杉並(東京都杉並区児童青少年センター)
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/map/detail.asp?home=H01560

 「子どもの居場所作り」の分野では真っ先に挙げられる先進的な施設で、1996年から運営されています。
 私は2008年3月に視察に行きましたが、例えば1階のロビーでは、漫画を読んでいる子、トランプやゲームをやっている子など、子ども達が三々五々に自由に過ごしていました。他にも音楽スタジオでバンドの練習をしたり、地下フロアの体育館でバスケットボールをしたり、調理室で料理をしたりしていました。
 「子どもがただ集まって遊んでるだけじゃないか」と思うかもしれませんが、もし「ゆう杉並」が無かったら、これらの子ども達は居場所を失って、駅前やファーストフード店やゲームセンターなどに無為にたむろすことになります。
 また、こうして集まった子ども達の中から「中高生運営委員会」が作られて、子ども達自身で様々な教室・イベントなどを実施しています。子どもの社会参加を実現していると共に、将来の地域社会を作っていくリーダー、キーパーソンの人材育成にもなっています。

◇うえだこどもまつり
http://comich.net/kodomo/

 これは手前味噌になりますが、私も事務局に参加しているイベントです。
 毎年5月5日のこどもの日に、多くの催事団体が集まって上田城跡公園でイベントを行っていて、3千人ほどの入場者があります。
 ここ数年は中学生の「ジュニアスタッフ」を市内の中学校で募集して、イベントブースを一つ持って企画・運営をしてもらっています。中学生にとっては大変な労力なのですが、来場者の子ども達に喜んでもらえるのでとても充実感があるようです。
 私達大人のスタッフも毎年試行錯誤してサポートしているのですが、子ども達の社会参加、地域の未来の人材育成と思ってやっています。
 既に2009年の「第38回こどもまつり」の準備を始めています。催事団体・実行委員を募集していますので、長野県上田市近辺の方はぜひご参加下さい。
 こうした子どもの「居場所作り」「社会参加」は、行政や学校にお任せではなく、「自分達の子どもは自分達で育てる」意識を持って、地域住民が主体的にやっていく必要があります。
 子どもに言うより先に、まずは私達大人が「社会参加」しましょう。